研究概要 |
1.理論的アプローチ スケール・アナリシスに基づいて,我々の実験装置に現れる惑星波動の伝播特性と,その振幅が小さい場合についての帯状平均流加速・減速特性が明らかになった.これにより,以下の室内実験的アプローチと数値実験的アプローチを比較検討する基礎が整った. 2.室内実験的アプローチ 主に昨年度実施した北半球規模の極渦反転室内実験のデータ解析を行い,初期の西風極渦が反転し東風極渦に変化する過程を分析した.その結果,低緯度帯で励起された惑星波動の極向き伝播およびその反射に伴って,極渦反転が引き起こされることがわかった. 3.数値実験的アプローチ 室内実験と良く似た状況を,球面バロトロピック・モデルの渦度強制問題として定式化し,広範囲のパラメータ領域で数値実験を行った.そして,室内実験の極渦反転現象を再現するのみならず,詳細な力学的分析を行った.その結果,その極渦反転過程における物質輸送・混合との関連が明らかになった. 4.不安定波動について 半球規模の傾圧不安定波動の研究については,昨年度報告以上に進展させる余裕はなかった.しかし,その基礎的な面をバック・アップする目的で視線循環ループ内での不安定振動に関する実験を行い数値モデルとの比較をしてそのモデルの有効性を確認することができた.
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