1.0次の状態でマグネトシースの磁場が磁気圏界面に水平な面内で回転しながら磁気圏内の北向き磁場に遷移することを考慮に入れると、マグネトシースの磁場が北向きの時の方が南向きの時よりマグネトポ-ズに於けるケルビン-ヘルムホルツ(K-H)不安定は起こり安く、不安定による運動量輸送も大きく、不安定の結果生ずる速度境界層も厚くなることが示された。またマグネトシースの磁場が真北を向く時以外では、磁場の圧力が増大し、プラズマの圧力が下がるslowの希薄化領域が渦の周辺に形成され、この中ではプラズマが磁力線方向に加速されることが明らかとなった。 2.磁場に垂直な2次元面内の圧縮性のプラズマ(流体)の流れに対して、エンストロフィーの保存則が見出された。また、この場合に2次元のMHDのシミュレーションによって、K-H不安定によって生じた渦を合体をくりかえし大きな渦になり、不安定による異常粘性の値は線形で最も不安定なモードによって生ずる異常粘性よりはるかに大きくなることが明らかとなった。このシミュレーション結果はK-H不安定によって非常に大きな粘性ストレスが磁気圏尾部の磁気圏界面上に加わることを意味する。またK-H不安定によって生ずる渦の中ではプラズマが希薄化され、プラズマの圧力、密度と磁場の圧力は下がることが明らかになった。渦の周辺部では、渦に伴う流れが0次の流れに加わることによって、流れは大きく加速されることも明らかとなった。 3.磁気圏が電離層に繋がった3次元の結合系では、プラズマの流れをひき起こす水平電場によって電離層にペダ-セン電流が流れる。この電離層電流によって生ずる磁気圏内の水平磁場の安定化作用によって、K-H不安定は電離層の電気伝導度があるしきい値以下でないと発生せず、この電離層電気伝導度のしきい値は、ほぼアルフベン電気伝導度に等しいことが明らかとなった。
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