研究概要 |
Pi2脈動にともなって、磁力線の横振動がしばしば観測される。これは定性的にはトロイダルモードの固有振動が励起されるためと考えられる。このトロイダルモードが地上のPi2の原因であるとするモデルが提出されている。そこで、トロイダルモードの空間構造とPi2との関連を知るためにKakioka,CCE,GOES5,GOES6のデータを比較した。衛星で同時に観測されるトロイダルモードの振動は開始時刻はほぼ同一であるが、その振動周期は場所に依存することが確認された。すなわち地球に近い衛星が地球から遠い衛星よりも、短い振動周期を観測した。また、CCEにおいて電場と磁場の変動の位相差が90度であることから、磁場振動が定在性のAlfven波に伴う現象であることが確認された。これらの観測結果は磁場振動が理論的に期待されるトロイダルモードの特性と合致することを示している。トロイダルモードはPi2と同時に励起されることがあるにもかかわらず、一般てきにはPi2とは異なった周波数を持つことが確認されたわけである。Pi2は広い緯度範囲で同一の周波数を示す現象なので、トロイダルモードはPi2の直接的な原因とはなりえないと結論される。トロイダルモードを励起する機構としては、サブストームに伴う、衝撃的な磁場の変化、そしてmagnetotailから時々おしよせる、早いプラズマ流によるKelvin-Helmholtz型の不安定が考えられる。
|