CCE衛星は近地点1.2R_E、遠地点8.8R_E、軌道傾角5°の楕円軌道上にあった。1984-1988年のCCE衛星の磁場データを使うことにより、全てのローカルタイムにおけるPi2の発生確率を調べることができる。方法としては、まずKakioka(L=1.2)の磁場のデータに簡単な計算機アルゴリズムを適用して自動的にPi2の発生をを決定した。昼側で発生するPc4との混乱を避けるため、Kakiokaのデータは真夜中を中心に6時間以内に取得されたものに限定した。Pi2の発生に加え、AE指数が5分間以内に100nT以上上昇することも条件にして、解析の対象とする時間帯が確かにサブストームの開始に対応することの保証とした。以上の方法によって選択された各々のPi2について、KakiokaとCCE衛星の磁場データを時系列相関解析した。その結果、以下の事実が判明した。 (1)内部磁気圏でのPi2の振動は圧縮性のポロイダル モードであるといえる。 (2)Pi2の周期を決める機構がオーロラ帯の磁力線の固有振動であるとするモデルは疑わしいといえる。 (3)振幅と位相の空間構造は最も単純に空洞共鳴に供う節構造で説明できる。 結論として、地上で観測されるPi2脈動が磁気圏内を圧縮性のモードで伝搬していることが証明され、その空間的な構造が明らかにされた。この観測結果については、現在のところ内部磁気圏の空洞共鳴が一番合理的な解釈をあたえる。
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