研究概要 |
平成6年度は,北海道の幌加尾白利加層のF.takasashiiの化石産状調査を集中的に行なった. 行なった調査は, 1)幌新太刀別川に沿ったルートの柱状図の作成. 2)地層中の化石の産出状況の全般的記載. 3)化石と含泥率測定用試料の採取. 4)幾つかの化石産地における貝殻の方位の測定と産状の記録. 5)主要な化石産地5ヵ所における一片約40cmの方形ブロックの定方位採取. 6)生痕化石の観察. である. 今回の調査の結果,F.takasashiiは幌加尾白利加層全体にくまなく分布し,その多くが他生的な産状を示す一方,共産化石は著しく変化することが明らかとなった.また,従来,物理的堆積構造と考えられて来た,いわゆる「ほうき砂」がF.takasashiiが関与して作られた生痕化石である可能性を示唆する産状を見出した. 幌加尾白利加層中部の貝化石の産状観察,含泥率の測定,貝化石による古水深の推定,生痕化石による堆積環境の推定から,本層中部は外浜から沖浜までの深度変化を7回繰り返して堆積した可能性が見出された.
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