研究概要 |
主題に從い,平成6年度は山口県美祢市西部に広く分布するペルム系常森層に含まれる腕足動物化石の採集を集中的に行った。その結果収集した資料の中には,多数の腕足動物の属種が含まれており、それらの中にはCathayspirina off.fenshujiangensis Liangが多数含まれることを確認した。Cathayspirina属は中国浙江省付近に分布するペルム系冷塢層(中部ペルム系上部〜上部パルム系下部)の腕足動物化石群の構成要素の一つであることが分った。その他Lyttoniidaeの仲間やProductidinaの属種などが多数含まれている。予際的には常森層産の腕足動物化石群の時代は後期ペルム紀前半が可能性が強く,地域的には中国大陸楊子江下流域南部付近の中部ペルム系〜上部ペルム系の腕足動物化石群の要素との類縁性が大であることが明らかになりつつある。このことは海洋性の生物礁複合体と考えられる秋吉石灰石の発達史の最後の時期は後期ペルム紀の初めの頃であった可能性が大きい。採集した資料を整理して分類を続行し、化石群の全容を明らかにすることを期している。 これに関連して,東京(科博系舘),千葉(千葉大)及び名古屋(名古屋大)に研究に関連した資料検討のため出張した。関連研究としてはスイス,ロ-ザンヌ大学のDr.Pillevuitと共同で、Oman地方のペルム紀腕足類の古生物学的検討を行って、九州大学理学部紀要に記載報告した。
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