研究概要 |
平成6年度は、主題に関連に秋吉石灰岩産後期石炭紀〜早期ペルム紀腕足類化石群の変遷について収集資料の検討を行った.また秋吉テレーン内に分布するペルム系常森層の化石採集を精力的に行った.これらのペルム紀腕足類との比較の目的で、検討する機会が得られたオ-マン地域のペルム紀腕足類化石をも検討し、その成果は記載報告した. 平成7年度は、整理検討中の後期石炭紀初頭のWeinigia属の2種を記載し,古生物地理学的意義を明らかにした.またペルム紀末〜三畳紀にかけての海生無脊椎動物群の大絶滅の解明と関連して、三畳紀のLingula属腕足類試料が秋吉近郊から多数採集できたので、その成果も報告した.またペルム系常森槽からの腕足類化石群試料を併せて検討した.その結果、それらが中国の揚子卓状地付近の中期ペルム紀末から後期ペルム紀初頭の腕足頭の腕足類化石群と密接な関係をもつことが分った。また、常森層の化石群には、テチス地域の温暖な水域の要素を共に、より高緯度の冷涼な水域の要素も混在することが分った.予察的には、秋吉生物礁複合対が中期ペルム紀ないし後期ペルム紀の初頭に揚子卓状地の北端付近に衝突付加し可能性が考えられること、それでは上記の水域の腕足類が混在したことも示唆される.1995年9月カナダ東部サトベリ-のローレンシアン大学で開催された第3回国際腕足動物会議で成果を報告した.今后は秋吉石灰岩産石炭紀腕足類化石群とペルム系常森層産腕足類化石群を記載報告し、石炭紀からペルム紀末に至る間の腕足類化石群を通してみられる、西南日本の上部古生界の地史を明らかにしたい.
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