研究概要 |
手取層群の分布域北東部(富山県大山地域)で,恐竜足跡を発見した.産出した足跡は50個以上で,そ連続した足跡から成る3つの歩行跡が認められ,27個体の分の動物により印されたものである.発見された足跡は,個体数も多く,個体変異の程度も把握でき,また,保存の程度もよい.これは,これまで発見・報告された恐竜の足跡とは異なる特徴である.恐竜足跡は,河口州と湖底で堆積したと解釈される斜交層理を含む厚い砂岩層と薄い砂岩層を伴う泥岩の互層の泥岩層から産する.また,この層には,流木,植物の葉や枝の破片が多く含まれる.小型獣脚類がこれらの環境下で,群をなしていたと解釈できる.東アジアでの最初の恐竜の群を示す証拠の発見である.また,東アジアにおける恐竜が移動した道(Dinosaur freeway)の考察に貢献する. 手取層群の分布域南東部(岐阜県牧戸地域)で,手取層群中部の海成層から非海成層にいたる層序中に含まれる非海生軟体動物化石の群集構成,その構造と化石化過程を考察した.そのため,化石産出地点を含む4つのルートにおいて,精度の高い柱状図を作成し,含化石層の堆積構造の観察,化石の産状観察と採集を行った.二枚貝群集は,汽水成から淡水成の環境を支持し,しかもそれらが下位から上位に出現することがわかった.これは,この層序が三角州から湖ないし河川システムへの堆積相の変化を表しているとするシーケンス層序からの結果と一致する.さらに,二枚貝類うちのシジミ類の殻サイズ頻度分布形から,この層序の下位では運搬集積集団を,中位では残留集団を,上位では群生集団を表していることが示される.これらは,下位のものほど二枚貝群集が流入した貝殻により構成されていることを示すことがわかった. 研究成果の一部を日本古生物学会で口頭発表した.
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