研究概要 |
代表者と分担者は秋吉石灰岩西台の美祢市丸山採石場と秋芳町南台採石場で合計3回の野外調査を行い,採集した石灰岩・化石試料から,補助者を伴いおよそ500枚の大型薄片を製作した.また,大型の石灰岩試料を採集し,秋吉授産場で切断研磨を依頼し,化石の共生関係,成長形態,周囲の石灰岩との岩相変化などを解析した. その結果,秋吉台西の台の生物礁環境区分(reef facies zonation)のうち, reef front subfaciesでは,多様な成長形態を示す大小さまざまなサイズの骨格性生物が,高密度に付着成長したreef frameworkが良好に保存されていることを発見した.同時に円盤状四放サンゴ群体を利用して,秋吉生物礁複合体礁前面斜面の傾斜角を復元した. 秋吉石灰岩石炭系に産生する化石生物群を成長形態と古生態からいくつかのグループに分類し,それぞれの造礁生物としての役割を明らかにし,生物礁の形成機構について考察した.それによると,石炭紀中世の主造礁生物群は,rugose corals,、 Chaetetes, calcareous blue-green algae, tabulate corals, bryozoans, encrusting foraminifersなどであることが明らかになった.これらの造礁生物群は,生物礁内の環境の違いに応じて,それぞれの場所で特徴的な組み合わせと成長形態(塊状,ドーム状,樹状,枝状,層状あるいは板状など)を具現しながら,互いに骨格を密着して強固なframeworkを構築したと考えられる.
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