平成7年度は平成6年度にひき続き、北海道のかんらん岩体の野外調査と岩石採集を行ない、その鉱物組成分析をさらに進めた。かんらん石とクロマイトは有望な岩石学的インディケータではあるが、これらが(Fe)、Mg、(Al)、Cr、Ni等の主として、固相濃集元素(そしてわずかに液相に濃集しやすい主要成分)にもとづいているために、かんらん岩からそれが関与して形成されたマグマの地球化学的性質を知る事は、この岩石学的インディケータだけでは不充分である。そこでより強く液相に濃集しやすい元素の挙動についてもモデル計算と天然岩石の分析にもとづいて検討を行なった。この結果、融解におけるメルトポロシティーの値は、液相濃集元素には大きな影響を与えるが、固相濃集元素にはほとんど影響を与えない事がわかった。この結果、かんらん石のF_<10>値とNiO含有量を正確に決める事によって、分離メカニズムとは独立に、かんらん岩の融解程度を決められる事が判明した。
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