かんらん石のMg/(Mg+Fe)値とクロマイトスピネルのCr/(Cv+Al)値の間に見られる一般的な正の相関(かんらん石-スピネルマントルアレイ)についてマントル物質の融解過程での元素の挙動をモデル計算によって調べた。その結果以下の事が明確となった。かんらん石のMg/(Mg+Fe)とスピネルのCr/(Cr+Al)のプロットで天然のかんらん岩について認められるS字形のパターンは、単斜輝石が固相に残っている間におきる.急激なCr/(Cr+Al)の増加と、単斜輝石が消えてからCr/(Cr+Al)値がしだいに変化しなくなるバッチ融解のモデリングの結果と調和的である。分別融解では単斜輝石が消えるまではバッチの場合とほとんど差はないが、単斜輝石が消えた後、急速にCr/(Cr+Al)値が増加する点で異なっている。かんらん石のMg/(Mg+Fe)は融解程度のほぼ線型の関数になっているのに対してスピネルのCr/(Cr+Al)は強く非線型である。また、Mg-Feの分配が正しく評価されているならば、融解程度の推定には、かんらん石のMg/(Mg+Fe)値のほうが適切である。
|