希薄溶液の溶質分子の動的過程を捕らえるために溶質間相互作用を二体問題として取り扱い、溶楳分子は絶え間なく溶質分子と衝突を繰り返すものとして、相互作用を有するBrown運動の問題に還元して研究を遂行した。その結果を以下にまとめる。 (1)相互作用を有する系のSmoluchowski方程式に対して、長時間漸近解を一般的に求めることに成功した。適用例として、イオン対生成反応に関して再結合を考慮しつつ動的過程を調べた。反応定数をイオンの半径についてプロットすると最初はイオン半径の増大つれて増加するが、極大値を取りその後減少することが解った。また、本結果はどのくらいの速度でボルツマン分布に到達するかに対しても答えを与えたことになり、基礎部門で種々の分野に適用出来ることが期待される。 (2)井戸型ポテンシャルについて厳密解を導いた。その結果井戸が適当に深いときには、ダイナミックスが非常に遅くなり平均自乗変位がアインシュタインの関係から大きくづれることが解った。
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