研究課題/領域番号 |
06640648
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
木村 克美 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (60001674)
|
研究分担者 |
佐藤 信一郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10262601)
|
キーワード | 光電子スペクトル / イオン化ポテンシャル / 有機分子 / 多光子イオン化 / ファンデルワールス錯体 / 超音速ジェット / レーザー / 共鳴イオン化 |
研究概要 |
本研究では、一連の基本的かつ重要な有機分子を取り上げ、聴音速ジェット中で極低温に冷却した状態をつくり、レーザー共鳴励起の原理を利用して、「多光子共鳴イオン化電流スペクトル」および「ゼロ運動エネルギー光電子スペクトル」を測定した。特に後者の方法はきわめて高分解能の光電子スペクトルが得られるという特徴がある。本研究室で独自に開発した電子アナライザーを用いた。 取り上げた分子は、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、フロロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール、ナフタリン、インドール、アズレンなどである。アルゴンをキャリヤ-ガスとした超音速ジェット中では、これらの有機分子はアルゴン原子とファンデルワールス錯体を形成するので、これらも測定対称とした。アルゴン原子が1個あるいは2個付着したファンデルワールス錯体の測定に成功した。 多光子共鳴イオン電流スペクトルから得られる情報は励起電子状態の精密のエネルギー準位であり、ゼロ運動エネルギー光電子スペクトルから得られる情報は精密な断熱イオン化ポテンシャルである。なお、種々のファンデルワールス錯体は混合した状態で生成されるが、励起エネル-の僅かな差によって、特定のものだけを選択的に励起およびイオン化ができる。 その結果、アルゴンの付着に伴う断熱イオン化ポテンシャルの低下を定量的に決定することができ、ファンデルワールス解離エネルギーとの関連を論じた。さらに、低振動領域において、錯体形成に伴うファンデルワールス振動を観察することに成功した。これに基づいて、ファンデルワールス錯体の平衡構造を論ずることもできた。当初の目的は十分達せられた。
|