| 研究概要 |
MLCT励起エネルギー移動速度の距離及び温度依存性を,一連の非対称二核Ru(II)錯体中において測定し,その相互作用と再配列エネルギーに注目して検討した。ドナー部分Ru(bpy)_2の発光と,アクセプター部分Ru(decbpy)_2(decbpy=4,4′-ジエトキシカルボニル-2,2′ビピリジン)の吸収の重なりについては積分から求めて考察し,次のようなことを明白にした。
(1)[(bpy)_2Ru(L-SP-L)Ru(decbpy)_2]^<4+>(L=ピリジルベンズイミダゾール,SP=CH_2)_n,n=2〜6,10またはSP=CH_2C_6H_4CH_2)の錯体におけるT-Tエネルギー移動は,交換相互作用が小さくなってしまい,フェルスター機構でしかおきない。
(2)110K以下の低温領域では,活性化エネルギーは3-7meVと低く,再配列エネルギーは低い。
(3)170K以上の高温領域では,再配列エネルギーの増加(〜0.4eV迄)により活性化エネルギーはより高くなる(40-80meV)。
(4)π電子が分子全体に拡がっているbpbimH_2で架橋した錯体では,交換相互作用による速い移動が起きる。
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