研究課題/領域番号 |
06640679
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
幸本 重男 千葉大学, 工学部, 助教授 (90195686)
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研究分担者 |
岸川 圭希 千葉大学, 工学部, 助手 (40241939)
山本 忠 千葉大学, 工学部, 教授 (50039294)
山田 和俊 千葉大学, 工学部, 教授 (60009230)
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キーワード | ノルカラジエン / 結合異性化 / ソルバトクロミズム / シクロプロペン / 光水素移動転位 / 光[2+2]環化付加反応 |
研究概要 |
昨年度に引き続き1,7-ラクトン、ラクタムおよびラクトール縮環型ノルカラジエンの安定性、その機能性を検討し以下の研究成果を得た。また、ノルカラジエンの合成中間体となるシクロプロペンの光環化反応もあわせて検討し、光水素移動型転位反応の反応機構に関する新しい知見を得た。 1.ノルカラジエンを利用したソルバトクロミックシステムの開発:昨年度開発した系酸触媒によるノルカラジエン-シクロヘプタトリエン間の結合異性化の制御をさらに発展させた。7-位ビニル基上の置換基がノルカラジエンの安定性に重要である事が判明した。ノルカラジエンのシクロプロパン環の炭素の化学シフトを大きく変化さえることを利用したソルバトクロミック系の構築が可能である。 2.光水素移動型転位反応の反応機構および反応制御:昨年度開発した光水素移動型転位反応の反応機構についてさらに詳細な研究を行った。エノン系の分子内光[2+2]反応においてしばしばこのタイプの反応が副反応として報告されているが、このふたつの反応経路の選択的な制御はなされていない。そこでこのふたつの反応の反応制御を試みその制御因子を明らかにした。生成物である環化付加体と転位生成物の安定性が反応の支配に重要である事が生成熱の計算より示唆された。生成熱の計算値の比較により文献既知の反応(約30例)の選択性に関する統一的解釈が可能となった。またこの考え方を利用してシクロプロペン(ノルカラジエン合成の際の合成中間体)環の歪を利用し反応経路を水素移動型転位反応のみとすることができた。反応は立体選択的であり3ヶ所の炭素に不斉導入が可能である。 3.新規フォトクロミック系への応用:いくつかの系を試みたがノルカラジエン系における光転位反応が優先して起こり現在の所フォトクロミック系と成りうるような系は達成されていない。
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