我々はこれまでにリンと酸素を含む複素環化合物の一種であるオキサホスホラン(5員環)を合成し、パラホルムアルデヒドを作用させるとWittig反応ではなく新しい形式の反応を見いだした。 光学活性な1、2-オキサホスホランを3種類(5-メチル、5-エチル、5-フェニル誘導体)合成し、種々の化合物との反応を行った。アルデヒドとの反応では相当する光学活性なホモアリルアルコールが得られた。この方法を応用することにより、大環状ラクトンの一種であるレシフェイオリドの合成にも成功している。この化合物の生成収率はこれまで非常によくなかったが、その原因である3-ヒドロキシアルキルホスホニウム塩とアルデヒドとの反応の段階をホスホニウム塩からオキサホスホランに置き換えることにより、大幅に収率が向上した(ほぼ定量的)。 チアホスホランについてはまず合成が可能かどうかを検討している。イリドとチイランとの反応を行い、3-メルカプトアルキルホスホニウム塩の合成を試みたが、相当する化合物は得られなかった。別の方法で合成を試みている。さらにこの化合物の特徴を見極めて反応を行いたい。 オキサホスホランとアルデヒドとの反応において、相当するホモアリルアルコールが収率よく得られた。また条件によっては、イリドとエポキシドとの反応において、これまでにみられない。新しいタイプの反応をすることが明らかとなった。
|