研究概要 |
ベンゾキノン-ハイドロキノン錯体であるキンヒドロン錯体における圧力依存性と分子構造・電子状態との相関関係について、分子レベルでの水素移動と電子状態との相関関係についての半定量的な知見を得るため、GAUSSIAN-92プログラムを用いたab-initio分子軌道法(UHF/3-21G^*)を用い、ベンゾキノン-ハイドロキノン系錯体の計算を行った(図-1)。 静電的相互作用、π-π相互作用における安定化が計算に組み込まれてないため、(B)、(C)は大変不安定になっているがキノン-ハイドロキノンとセミキノンダイマーのエネルギーは、それぞれ約12.06,11.57kcal/molだけ安定化していることがわかった。キンヒドロン結晶におけるキノン-ハイドロキノン間の水素結合の強さはそのO-H伸縮振動のシフトから約7.5kcal/molと見積もられており、この安定化のメインの寄与は水素結合によるものであると考えらる。 以上、今回のモデル錯体のab-initio計算により、新しい電子系であるPET課程の挙動を理解し、水素-電子連動移動型作体の設計を行なう上での基礎データの一部とすることができた。
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