研究概要 |
X線異常散乱法およびlsotropic Raman散乱を用いて2および6mol%DyCl_3水溶液およびCl^-を大過剰に含む2mol%DyCl_3水溶液の構造解析を行なった。MoKαおよびCuKα、二つの異なる波長の線源を用いた回折実験から得られた干渉項の差、Δ_<Dy>(Q)に対し、遠距離原子対相関を含むモデル関数を用いた最小二乗法による解析を行い、Dy^<3+>周囲の配位構造の詳細を調べた。通常の2mol%DyCl_3溶液中ではDy^<3+>は8個の水分子に囲まれているが、HCl大過剰の2mol%DyCl_3溶液中(Dy^<3+>:Cl^-=1:6)におけるDy^<3+>の水和数はおよそ5に減少し、さらに最近接Dy^<3+>…Cl^-相関を2.91Åに見出した。これ等の結果は「第18回溶液化学シンポジウム(草津)1995」にて発表した。X線、中性子回折、Ramanスペクトルを併用した解析により、15mol%HCOONa水溶液中におけるNa^+およびHCOO^-の水和構造を明らかにした。この結果はBull. Chem. Soc. Jpn. 69(1996)5-6月号に掲載予定である。^6Li/^7Li同位体置換法中性子回折実験を12mol%DCOOLi-D_2O溶液に対して行なった。Li^+周囲の分布関数G_<Li>(r)の解析から、この溶液中における接触イオン対Li^+…DCOO^-の存在が示唆された。非常に濃厚なLiBrおよびLil-メタノール溶液の同位体置換法中性子回折およびRaman散乱実験を行ない、非水溶液中におけるLi^+の溶媒和構造を詳細に調べた。この結果をPhysica B 213&214,477(1995)にて発表した。10,25および33mol%LiBr重水溶液の同位体置換法中性子回折実験から得られた干渉項の差、Δ_<Li>(Q)に対して最小二乗fitによる解析を行い、溶融水和物中のLi^+の水和構造を調べた。この結果は「3rd Liquid Matter Conference, (Norwich, UK)6-10 July, (1996)」にて発表予定である。
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