研究概要 |
1.ホスト機能テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)及び銅(II)金属錯体の合成 3種類のポリエーテル鎖(-CH_2CH_2OCH_2CH_2-,-CH_2CH_2OCH_2CH_2OCH_2CH_2-,-CH_2CH_2OCH_2CH_2-OCH_2CH_2OCH_2CH_2-)を有するジカルボン酸の酸クロリドを合成した。これとテトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)(1-Ni)および銅(II)(1-Cu)錯体をトルエン中トリエチルアミン存在下加熱し、各々のストラプト型ニッケル(II)(3-Ni)及び銅(II)(3-Cu)錯体を30-60%の収率で合成した。これらの錯体は質量、電子、IR及びNMRのスペクトルや元素分析等よりその生成を確認した。 2.ホスト機能テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)及び銅(II)金属錯体のスペクトル 昨年度合成したポリメチレン鎖のみのニッケル(II)(2-Ni)及び上で合成した(3-Ni)錯体のNMRスペクトルは、非ストラプト型(1-Ni)のそれと類似している。また、銅(II)錯体(昨年度合成した2-Cu,3-Cu)もESRスペクトルのスピンハミルトニアンパラメータが、非ストラプト型(1-Cu)のそれに類似している。従って、この様な長さのストラプト基を付けつても、テトラアザ[14]アヌレン環には殆ど歪みを与えないことが分かった。さらに、中心金属の電子状態や共役系の広がりもほぼ非ストラプト型(1-Ni,1-Cu)錯体のそれに類似していると考えられる。 3.ホスト機能テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)及び銅(II)金属錯体による分子認識 (2-Ni,2-Cu,3-Ni,3-Cu)錯体のキャビティーを利用し、脂肪族分子の形状やヘテロ原子の置換位置を系統的に変化させ、NMRやIRスペクトルより検討し、架橋位がポリエーテル鎖錯体の方がポリメチレン鎖のみの場合より分子包接能が強く、分子認識も優れていることが分かった。
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