研究概要 |
フェナントロイン-ペプチド複合体の中間体となる種々の2,9,-および5-X-phen(phen=1,10-フェナントロリン,X=CH_3,NO_2,Cl,NH_2,NHCOCH_2NH_2)の銅(II)錯体を合成しDNAファイバーESRによるDNA結合構造解析と過酸化水素存在下におけるプラスミドDNAの切断反応解析を行った。Cu(II)(5-X-phen)^<2+>錯体ではいずれもphen環が乱雑に配向した成分と部分的にDNA塩基対間にインターカレートした成分が観測された。切断活性は乱雑な配向の成分が多いほど,またNO_2やClなどの電子吸引性の置換基を持つ場合に高くなることから,活性種はインターカレートしていない錯体で,第3および4配位座の配位水のpKaが活性に関与していると推定された。本研究の一部はNATO Workshop(Toulouse)および第45回錯体化学討論会(福岡)において発表された。またフェナントローリン-ロイシン混合配位子白金(II)錯体と自己相補配列オリゴヌクレオチドとの結合構造を2DNMRと分子動力学計算によって解析しこの錯体がDNA主溝側からAT塩基対間にインターカレートすることを明らかにした。結果は第45回錯体化学討論会(福岡)と日本化学会第70春季年会において発表した。種々のペプチド銅(II)錯体のDNA切断活性については前年度に引き続き解析を進め,結果を第7回金属の関与する生体関連反応シンポジウム(浜松),ICBIC-7(Lubeck),および1995年環太平洋国際化学会議(ホノルル)において発表した。また種々の大環状ポリアミン銅(II)錯体とプラスミドDNAとの反応において,[12]aneN3銅(II)錯体が加水分解活性を示すことを見いだし,第45回錯体化学討論会(福岡)において発表した。以上の成果は現在論文として投稿準備中である。
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