研究概要 |
平成6年度の交付申請書に従って、水に可溶で結晶化するNa塩のKeggin型およびDawson型の修飾ヘテロポリ酸塩担体を用いて有機金属カチオン種Cp^*Rh^<2+>(Cp^*=C_5Me_5)を担持させ、相手カチオンがすべてNaイオンからなる新しい担持ヘテロポリ化合物Na_7[Cp^*Rh・P_2W_<15>Nb_3O_<62>]およびNa_5[Cp^*Rh・SiW_9Nb_3O_<40>]の合成・単離を行った。 1.Keggin型の修飾ヘテロポリ酸塩担体のNa塩、Na_7[SiW_9Nb_3O_<40>]・16H_2Oの合成・単離の方法を明らかにした。得られた化合物は水およびDMSOに可溶な白色粉体であり、全元素分析、^<183>W NMR,FT-IR,TG/DTAなどで同定した。vapor diffusion法により結晶で得ることもできた。 2.この合成法を利用して他のアルカリ金属塩(Li塩、K塩、Ca塩)のKeggin型修飾ヘテロポリ酸塩を合成することができた。K塩はNa塩と同様に水およびDMSOに可溶であり、Cs塩はすべての溶媒に対して難溶であった。一方、Li塩は水だけでなく、EtOH,MeOH,DMSO,DMFなどの有機溶媒にも可溶であった。 3.修飾ヘテロポリ酸担体のNa塩にCp^*Rh^<2+>基を担持したヘテロポリ化合物Na_5[Cp^*Rh・SiW_9Nb_3O_<40>]の合成条件(特に溶媒の選択)を詳細に検討した。DMSOとCH_3CNの混合溶媒中で、それらの体積比が1:5の時にのみ、窒素下での還流により目的物が得られることがわかった。 4.そのCp^*Rh^<2+>担持Keggin型ヘテロポリ酸塩のNa塩は、DMSO/EtoAcからの再沈殿を繰り返すことにより副生成するNaBF_4を除去することができ、全元素分析を行える程度にまで精製できることがわかった。 5.以上の方法を利用して、Dawson型の修飾ヘテロポリ酸塩担体L_9[P_2W_<15>Nb_3O_<62>](L=Li,Na,K,Cs)および有機金属種担持ヘテロポリ酸塩Na_7[Cp^*Rh・P_2W_<15>Nb_3O_<62>]の合成を行った。
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