研究概要 |
1.4-alkylazobenzene 4'-oxyethylammonium bromide(alkyl=ethyl,butyl)は水溶液中でミセルを形成する。紫外線照射によるcis-体の増加とともに臨界ミセル濃度は増大した。これはcis-体の大きな双極子モーメントによる親水性の増加と,曲がった分子構造にもとずくミセル凝集力の減少によると考えた。われわれはこれを「光界面活性剤」と命名した。 2.光界面活性剤とシクロデキストリンの相互作用をイオン選択電極法と円二色性により研究した。用いた界面活性剤選択電極は事実上trans-体にだけ感じた。シクロデキストリンのキラルな分子力場の影響で光界面活性剤に円二色性を誘起することを見いだした。これらの知識を用いて,α-シクロデキストリンはtrans-体と1:1複合体を形成するが,cis-体を包摂しないこと,β-シクロデキストリンは両体ともに1:1複合体を形成することが分かった。γ-体は1:1,2:1,2:2(界面活性剤:シクロデキストリン)を形成する。 3.界面活性剤とsodium poly(acrylamido-2-methylpropane sulfonate)と協同的に相互作用する。trans/cis混合物からの高分子電解質への結合は解析が困難で,実験的,理論的解析法を検討中である。これらの結果は主題である高分子ゲルへの結合を研究する際の基礎となる。
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