新規TTF系有機合成金属を開発するために次の研究を行った。 1.有機スズ化合物とルイス酸の“複合化"による新規TTF系ドナーの効率的合成法の確立 <スズ化合物-エステル-Me_3Al>の組み合わせにより様々な非対称TTF誘導体の合成に成功した。 <スズ化合物-ジハライド-BF_3・OEt_2>の組み合わせによりヘテロ環に富んだドナーの合成に成功した。 2.DHTTF誘導体を用いた新規有機金属の開発 今までに知られている有機合成金属の中で、最もπ系の短いドナーを用いた有機合成金属の開発に成功した。 3.新規DSDTF誘導体を用いた有機合成金属の開発 5種類の新規有機合成金属の開発に成功した。 4.新規TTF縮環系ドナーを用いた有機合成金属の開発 15種類の新規有機合成金属の開発に成功した。 5.二環系縮合ヘテロ環を有するドナーを用いた新規有機合成金属の研究 今までに知られている有機合成金属の中で、最も平面性に欠けるドナーを用いた有機合成金属の開発に成功した。 現在、以上の新規有機合成金属の構造と物性との関係を明らかにするためX線構造解析を行っており、いくつかの錯体については構造解析に成功している。今後の課題としては、すべての錯体について構造と物性との関係を明らかにし、従来のTTF系有機合成金属における構造と物性についての解釈を拡張できるかを検討することである。
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