研究概要 |
1.モンモリロナイトの層間のNa^+をAl^<3+>, Zn^<2+>, Pb^<2+>, Cu^<2+>, Mg^<2+>で置換して合成した無機侵入型化合物を水に分散し、それに上記陽イオンの量1に対し8-ヒドロキシキノリンのモル比がそれぞれ15,2,10,4,2になるように調整したエタノール溶液を加えて含金属錯体侵入型化合物を新たに得た。この試料の粉末X線回析の測定から、面間隔は出発物質モンモリロナイトの12.48Åに対しそれぞれ17.05,16.41,17.87,16.98,16.00Åになることがわかった。これらの化合物のX線マイクロ分析により組成を決定し、層間における金属錯体間の距離を見積もったところ、含Cu^<2+>錯体化合物では8.48Åとなり、これはモンモリロナイトのa軸格子定数8.95Åに近い値である。2.けい光スペクトルを調べたところ、Al^<3+>,Mg^<2+>錯体のけい光は層間に入れても殆ど変わらず、それぞれ512,492nmにけい光最大をもつが、含Zn^<2+>錯体化合物では519nmに最大があり、Zn^<2+>錯体の531nmより青シフトしている。すなわち層間場の影響を受けていることがわかった。Al-サリチリデナミノフェノール錯体は538nmにけい光を発するが層間に入れるとけい光を出さなくなる。 3.同様にアルキルアンモニウムで置換して合成した有機侵入型化合物の面間隔はアルキル基がテトラメチル,n-ヘキシル,オクタデシルトリメチル,ジメチルオクタデシル基のそきそれぞれ13.97Å,13.34Å,22.41Å,39.41Åであり、いずれも拡大することがわかった。これらの有機侵入型化合物中での陽電子消滅現象を観測したところ、そのドプラー拡がりから求められたSパラメターは0.55-0.58であり、寿命の第2成分は1.12-1.74nsにあるが、これらの値はいずれも相当するアルキルアンモニウム塩結晶中での値とそれぞれ良い相関のあることが見い出された。すなわち、オルソポジトロニウムを経由する陽電子消滅はホストの縮合ケイ酸層中ではなく、層間場領域で起こることが証明された。
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