研究概要 |
半導体触媒による高分子の光分解法は環境保全のための高度酸化技術(Advanced Oxidation Technoloy)として有望視されている。TiO_2半導体触媒の強い酸化力を利用し、いろいろな構造をもつ高分子の光分解を行つた。水溶性高分子(PVA,PEG)ではTiO_2触媒表面への吸着が容易に起こり、CO_2へ無機化される。しかし高分子固体粒子とTiO_2触媒粒子では不均一の固体/溶液/固体分散系であるため、TiO_2粒子表面で生成したOHラジカルやOOHラジカルの高分子粒子への攻撃が重要なポイントである。塩化ビニルの光分解では粒子表面から脱塩素が起こる。塩化ビニル粒子(粒径0.25〜0.75mm)の表面積に比例して、塩素イオン生成量は増加する。光分解された塩化ビニル(PVC)のGPC測定の結果PVCの分子鎖は切断され、低分子化される。中間酸化生成物として過酸化物や低分子の有機カルボン酸が生成した。たとえばPVCからマロン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸の定量を行い、高分子の鎖の切断について検討した。SEM写真観察では表面から分解され固体粒子が繊維状態に分解される。太陽光でも高分子化合物の光分解を効率良く行うことができた。TiO_2/PVC薄膜は水銀ランプによる紫外線照射時間に比例し薄膜が薄くなる。さらに光照射を進めると分解が進み膜表面がランダムに穴が空き、破壊された。PVCにTiO_2をブレンドして薄膜化にすることにより、分解速度を加速することができた。PVC以外の高分子、特に窒素含有高分子ポリアミド、ナイロン、ポリベータ-アラニンなどにつては、NH_4^+イオンの方がNO_3^-イオンより多く生成し、ポリアクリロニトリルにつては、NO_3^-イオンが多く生成した。 高分子粒子の表面積や触媒添加量、酸化剤の種類、光照射法などの実験因子により分解速度は大きく影響された。
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