半導体触媒による高分子の光分解に関する研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06640757
• 研究機関: 明星大学
• 研究代表者: 日高 久夫 明星大学, 理工学部, 教授 (70062312)
• キーワード: 光酸化 / 塩化ビニル / RNA / 二酸化チタン / 高分子 / 光分解 / 半導体光触媒 / DNA

研究概要

固体高分子(塩化ビニルPVC)および水溶性高分子(PEGとPVA)の光酸化およびDNA、RNAおよび塩基類の生体高分子の光酸化に分けて研究を行った。
(1)PVCの固体粒子およびPVCフィルムの光触媒的酸化分解を紫外線および太陽光照射下で、二酸化チタンTiO2または酸化亜鉛ZnO中で行った。酢酸およびギ酸を経由して脱塩素およびCO_2ガス発生が追跡された。高分子とTiO2の接触面に酸素分子が吸着し、TiO_2の半導体ホールで生じた・OHラジカルが攻撃をする。高分子表面からの深さに対する酸化状態をXPSで測定し、どのような酸化構造をしているかなどが分解プロセスを検討した。PEGとPVAの水溶性高分子は主鎖が切断され分子量が低下し、低級カルボン酸、アルデヒドおよびCO_2へ光分解された。固体高分子の分解と比べて、比較的早急に分解が進行した。
(2)DNAおよびRNAの光増感光化学がUV-AとUV-B照射下で、サンスクリーン剤の存在下で調べた。アナターゼ/ルチル粒子がDNAおよびRNAに接触することにより損傷(ダメ-ジ)をうけた。部分的にCO_2へ分解され、窒素基はアンモニアと硝酸へ変換する。DNAの物理的化学的ダメ-ジに関して、TEMおよびSEM観察およびGPCによる分子量低下を測定した。生体高分子構造しているアミノ酸の窒素基の分解についても調査した。窒素の化学構造に対するNH_4^+イオンとNO_3イオン生成比および生成メカニズムについて詳細に検討した。-NHOH基は酸化され、主としてNO_3イオンが生成した。一方、-NH_2や-CONH-基は他の分子から水素引き抜きまたは加水分解され、NH_4^+イオンに変換されることが明らかになつた。さらに、電子密度が高い構造部分はどホールによる引き抜きが優先的に進み(光還元)、・OHラジカルの攻撃を受けや水ことが明確になつた。

研究成果

• [文献書誌] H.Hidaka,Y.Suzuki: "Photocatalyzed degradation of polymers in aqueous semiconductor suspensions I : Photooxidation of solid particles of polyvinyl chloride" J.Polym.Sci.,PartA Poly.Chem.34. 1311-1316 (1996)
• [文献書誌] H.Hidaka,: "Photodegradation of Surfactants XVII : Photooxidation processes in amphoteric surfactants catalyzed by irradiated by TiO_2 suspensions" J.Adv.Oxid.Technol.1. 21-28 (1996)
• [文献書誌] K.Nohara,H.Hidaka: "Production of NH_4^+ and NO_3^- ions during the photocatalvzed oxidation of amino acids,amines and heterocyclics at the titania/water interface" Catal.Lett.36. 115-118 (1996)
• [文献書誌] H.Hidaka,Y.Asai,J.Zhao: "Photoelectrochemical decomposition of surfactants on a TiO_2/TCO particulate film electrode assembly" J.Phys.Chem.99. 8244-8248 (1995)
• [文献書誌] K.Waki.L.Wang,K.Nohara and H.Hidaka: "Photocatalyzed mineralization of nitrogen-containing compounds at TiO_2/H2_<>O interfaces" J.Mol.Catal.95. 53-59 (1995)
• [文献書誌] H.Hidaka: "Photodegradation of Surfactants XIV : Formation of NH_4^+ and NO_3^- ions in photocatalyzed mineralization of nitrogen-containing cationic,nonionic and amphereric surfactants" J.Photochem.Photobiol.A : Chem.91. 145-152 (1995)