(1)mei-3遺伝子の解析:mei-3遺伝子を大腸菌中で高発現させ、MEI-3タンパク質を精製し、これを抗原としたMEI-3抗体を作成した。ウエスタン解析を行ったところ、MEI-3タンパク質はこれまでの報告とは異なりかなり高分子であった。そこで、アカパンカビのcDNAライブラリーからmei-3のcDNAを単離し、シークエンスしたところmei-3のORFは5'上流に伸びており353のアミノ酸をコードしていることが明らかになった。予想される分子量とウエスタン解析の結果も一致した。MEI-3タンパク質は出芽酵母のRad51タンパク質と70%の相同性を示したが、Rad51とは異なりC末にグルタミン酸の繰り返し配列は存在しない。mei-3のm-RNAは紫外線およびアルキル化試薬による処理で誘導される。また、子襄中にMEI-3タンパク質の存在することが抗体を使うことで明らかになった。 (2)mus-25遺伝子の解析:単離したmus-25遺伝子のゲノムDNAおよびcDNAをシークエンスしたところ834のアミノ酸をコードするORFがひとつ含まれていた。このMUS-25タンパク質は出芽酵母のRad54タンパク質と高い相同性を持つ。特に7つのヘリケースドメインは非常によく保存されていた。この遺伝子もまたmei-3遺伝子と同様に、紫外線やMMSなどの処理により誘導されることが明らかになった。mei-3遺伝子とmus-25遺伝子がともに変異原で誘導されることから、それぞれの遺伝子の上流域には共通のシスエレメントが存在するものと思われるので、欠失実験によりその領域を確認する実験を進めている。
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