研究課題/領域番号 |
06640797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
庄武 孝義 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00003103)
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研究分担者 |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60158623)
木村 賛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20161565)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 捕獲採血 / 電気泳動法 / 父子判定 / ミニサテライト / マイクロサテライト / 集団近交度 / 骨発達の遅延現象 / 有害遺伝子 |
研究概要 |
本研究遂行のためには幸島群の個体群を出来るだけ多数捕獲する必要があるため1996年2月20日より23日にかけて捕獲、麻酔下での採血、生体測定などの調査終了後解放するという総合調査を行った。この調査には京都大学霊長類研究所の他に日本獣医畜産大学、宮崎大学のスタッフの協力を得た。現在幸島に生息している88頭のうち81頭の。捕獲調査に成功した。全ての個体は個体識別され、母系の家系、年齢の明らかなものである。 採血された血液は霊長類研究所に持ち帰り、遠心分離され、血漿、バフィーコート、赤血球に分離され-130 Cの超低温庫に保存された。赤血球、血漿についてはタンパク変異をスターチゲル、水平式ポリアクリルアミドゲル、等電点電気泳動法で検索を行った。これには過去(1976〜1987)に採血され保存されていた個体も含まれている。残念ながらタンパク変異の個体毎変異性は低く父子の同定を出来るものは見出せなかった。さらに1988当時井上美穂氏(当時生化学研究室の大学院学生)ミニサテライトDNAで我々の研究室に保存されていた資料を加えて父子判定を試みたが父子の同定出来る組み合わせは見出せなかった。 そこで申請者はヒトのマイクロサテライトDNAのプライマーがマカクザルにも反応する事を利用して出来るだけ多数の変異遺伝子を検出し父子の組み合わせを見いだそうと実験を続けているが現在18種類のヒトプローブを用いても父子を同定できる組み合わせは見出せていないのでさらにプライマーの種類を増やし作業を続行している。個体毎の変異が少ないと言うことは集団レベルでも近交度が高いことを暗示している。そこでここでは生態社会学的資料を基にして集団近交度と生活適応度の低下から幸島群の持っている生活適応度を低下させる有害な遺伝子の量を推定した。 形態学的調査としては、全身の生体計測と手部のレントゲン撮影とが行われ目下解析中である。これまでに発表してきている全身、とくに骨発達の遅延現象と矛盾するものはない。幸島のニホンザルは個体発達が他のニホンザル群と比べて遅れているのは事実である。これも近交度の上昇になんらかの影響を受けていると思われる。
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