研究概要 |
Random.Primer PCR Differential Display (RPPDD)法(Liang & Pardee,1922)を用いて再生過程で特異的に発現する遺伝子のクローニングを行った。RPPDD法を用いるときの重要な留意点のひとつは標的組織を出来るだけ絞り込むことである。ヒドラの再生においては上皮細胞が第一義的な役割を果たす事を既に明らかにしたので、幹細胞系譜の細胞を完全に欠いた上皮のみからなるヒドラ(上皮ヒドラ)を作成し、頭部を切除し再生させた。頭部切除後0,0.5,1,3時間の再生端及び頭部組織からRNAを抽出し、RT-PCRを行い、再生特異的に発現するcDNAクローン8個を得た。これらのクローン中2種(RD2,RD4)について(1)ノーザンブロットによる再生特異的発現パターンの再確認、(2)塩基配列の決定とホモロジー検索、(3)われわれの開発した細胞種特異的ノーザンブロット法による発現細胞の同定を行った。いずれも再生初期(3時間まで)に強く発現され、RD2は上皮細胞で、RD4は上皮でも間細胞でも発現された。塩基配列の比較から、これらはいずれも新たな遺伝子と考えられる。現在、ホールマウントを用いたインシチュ・ハイブリダイゼーション法を用いて発現部域の解析を行っている。
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