研究概要 |
ヒドラの再生に関与する遺伝子及び因子をそれぞれ異なった方法を用いて探索し分離した。 1.再生に関与する遺伝子 ヒドラの再生は基本的に上皮細胞によって決められている。そこで、上皮細胞のみからなる上皮ヒドラ再生端からRNAを抽出し、Differential Display(DD)-PCR法(Liang & Pardee,1992)を用い再生特異的に発現する又は発現を抑制される遺伝子を探索した。その結果、遅くとも再生3時間で強い発現を開始し、その後、暫減する遺伝子クローン(RD4)を得た。塩基配列から見ると未知の遺伝子である。転写産物は約0.7Kbで、再生端の上皮細胞及び幹細胞の系譜でも発現される。 2.再生に関与する因子 遺伝子の探索とは別に、再生に影響を与えるヒドラのペプチドの検索を進めた。ヒドラの形態形成においてペプチドの可能性が高い小分子が形態形成因子として働いている状況証拠が蓄積している。ヒドラからペプチドを無作偽に単離し、DD-PCRを用いてシグナル分子としての活性を持つものを選択し、構造決定及び化学合成した。合成ペプチドを用いて、再生に影響を与えるものをスクリーニングした結果、ごく最近、20個のアミノ酸からなるHyd-46が足部再生を促進する事を見だした。このペプチドをコードする遺伝子のクローニングをPCRを用いて進めており、目的の遺伝子がとれたと思われる。この線に沿った研究が今後、ヒドラ再生の分子機構を解明する上で効率よくかつ重要であると考えられる。
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