多雪地に分布するエゾユズリハは低木であるが、少雪地に生育するユズリハやヒメユズリハは高木になる。このような大きさの違いが生ずる理由として、物質生産能力の解析が必要である。新潟県松代町早稲田大学セミナーハウス近くのブナ林床に生育するエゾユズリハと、新宿区早稲田大学大隅庭園内に生育するユズリハの一年葉、二年葉の光合成活性、および、その日変化を4月から12月まで定期的に携帯用CO2ポロメーターを使用して、生育地で測定した。また、両地の微気象を測定記録した。光合成能力はユズリハの方が高く、光環境も良好なので、単葉の年間物資産産量はユズリハが倍近く大きいものと思われる。ポテンシャルの光合成能力の季節変化を知るために、実験室でCO2濃度5%の条件下で、酸素放出速度を測定した。 ヒメアオキ・アオキ、ユキツバキ・ヤブツバキ、エゾユジリハ・ユズリハなどの茎のかたさ(多雪地生育種の小型化、ほふく性、雪圧に対する曲がり易さに関して)を説明するために、葉・茎などに含まれる同化糖類を分析し、その含有率の季節変化を調べた。 ヒメアオキ・アオキ、ユキツバキ・ヤブツバキ、エゾユズリハの枝の曲がり易さを比較するために、それぞれの種で、20〜30本の茎の先端20cmの齢構成、直径を計測し、さらに先端に50gあるいは100gの加重をかけた場合の曲り程度を季節的に調べた。
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