平成6年度に、CO_2の無い条件で見られる光合成酸素発生の測定から、リンゴ酸の液胞からの排出、あるいは脱炭酸の過程の制御が連続明条件でも持続するリズムを持っていることが明らかになった。このうち、脱炭酸にかかわる酵素(細胞質のNADP-malic enzyme(NADP-ME)とミトコンドリアのNAD-malic enzyme(NAD-ME)について調べた。 1.Kalanchoe daigremontianaの葉の抽出液中のNADP-MEの活性は日周リズムが見られるが、リンゴ酸に依存した光合成のリズムと対応していない。NADP-MEのリズム生理的意義は今のところ不明である。また、このリズムは連続明条件ではみられない。この酵素の量は慨日リズムによって制御されていないと思われる。 2.抽出液中のNAD-MEの活性にはリズムが見られない。この酵素は四次構造の変化によって活性が変化することが知られているが、このような調節、あるいは酵素の量が慨日リズムによって制御されているとは考えにくい。ただ、この酵素はもっと複雑な制御機構を持っている可能性があり、精製した酵素を用いた研究が必要になる。 液胞膜のリンゴ酸チャネルについては、まだ解析が進んでないが、今後チャネルの性質をあきらかにすることで、リンゴ酸の輸送・脱炭酸系のリズムの形成機構の全体像を明らかにしていく計画である。
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