研究概要 |
緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumから精製した反応中心粒子について、結合したシトクロム(Cyt)およびFe-Sセンター(CF_A/CF_B)の室温における酸化還元kineticsを、キセノン励起によるm秒閃光分光により研究した。551nmでは、閃光誘起された吸収変化は指数関数的に数100msのt_<1/2>で減衰する成分によって説明でき、減衰はメトキシPMS(mPMS)によって促進された。青色部における吸収変化は、mPMS依存性成分と非依存性成分から成っており、後者は半減期約400-650msで指数関数的に減衰した。波長416-560nmにおいて同様な測定を行い、結果を解析し、各成分の差スペクトルを求めた。mPMS依存性成分は典型的なCytcの差スペクトルを示し、551、約520、約420nmに負のピークを、約440-500nmに正の部分を持っていた(Cyt C_<551>)。また、等吸収点は、約438nmにあった。mPMS非依存性成分は、430-435nm付近に幅広い負のピークを持ち、光化学系IのFe-Sセンターの差スペクトルであるP430とよく似た差スペクトルを示し、CF_A/CF_Bの酸化還元によると解釈された。これは、緑色硫黄細菌におけるFe-Sセンター差スペクトルの最初の測定例である。電子受容体ベンジルビオローゲン(Em-360mV)、メチルビオローゲン(-440mV)は、閃光誘起された吸収変化の減衰を予想通り促進した。triquat(-540mV)も減衰を促進したが、その効果は前2者よりも低く、これはtriquatの酸化還元電位が低いこととの関連が考えられた。 (Photosynth.Res.(1995),in press)
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