研究課題/領域番号 |
06640855
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
近藤 矩朗 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (60124343)
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研究分担者 |
姜 昌杰 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 科学技術特別研究員
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キーワード | アブシジン酸 / 気孔 / 孔辺細胞 / ソラマメ / タキソ-ル / 微小管 / プロピザマイド / マンニトール |
研究概要 |
ソラマメの剥離表皮を用いた免疫蛍光顕微鏡観察により、微小管の配列に対する植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)の影響について検討した。セルラーゼ処理により表皮の細胞壁を部分消化したのちに抗チューブリン抗体および蛍光抗体処理を行った。ABA処理は短時間で気孔開度を低下させたが、処理を除くと気孔開度は回復した。光照射下において孔辺細胞内の微小管は細胞の長軸に対して直角に配向していたが、ABA処理により顆粒状に変化した。この変化は可逆的で、ABA処理を除くことにより回復した。また、孔辺細胞以外の表皮細胞の微小管に対してはABAは影響を与えなかった。一方、マンニトール処理により浸透圧ストレスを与えると気孔開度は低下したが、微小管には影響を与えなかった。これらの結果は微小管に対するABAの作用はABAに特異的であるとともに、孔辺細胞に特異的であることを示唆している。しかし、ABAのこの作用は気孔閉鎖誘導作用よりも遅く、ABAによる短時間の気孔閉鎖作用とは直接関係がないことが示唆された。また、微小管の重合阻害剤のプロピザマイド処理は微小管を破壊したが、気孔開度には影響を与えなかった。さらに、微小管の脱重合阻害剤であるタキソ-ルはABAによる微小管の顆粒化を阻害したが、ABAによる気孔閉鎖には影響を与えなかった。これらの結果は孔辺細胞の微小管に対するABAの作用は極めて特異的であること、また、ABAの短時間の気孔閉鎖作用には直接関わっていないことを示唆しているが、気孔の開閉能力を制御していると考えられる孔辺細胞の細胞壁代謝に関わっていると考えられる。
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