申請者は平成6年5月に富山大学から金沢大学へ転出したが、転出先の臨海実験所においては改修工事をしており、8月末まで研究が出来なかった。従って、現在、得られている知見は極めて断片的であり、本研究の完成を平成7年度に賭けている。以下にこれまでの結果を述べる。 メガネカイマン(ワシントン条約に抵触しない人工孵化による繁殖個体)より定法に従ってゲノムを採った。それをサケのカルシトニンの遺伝子のアミノ基側とカルボキシル基側の約20bを基にしたプライマーでPCR法により、増殖を試みたが、特異的に増殖される部分はなかった。トリのカルシトニンはサケのカルシトニンに極めて良く似ており、同じグループに入れられている。従って、トリと最も近縁である爬虫類においてもカルシトニンは似ていると考えていたが、そうではないらしい。一般に、脊椎動物においてカルシトニンは成体よりも幼若個体において、より発現していることが知られており、現在、ミドリガメ(アカミミガメの幼若個体)を入手し、mRNAからcDNAを経てカルシトニン遺伝子のクローニングにとりかかるところである。
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