シナプス結合の可塑性の分子機構

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06640869
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 松本 明 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80053263)
• キーワード: 運動ニューロン / シナプス / 免疫組織化学 / γ-アミノ酪酸 / アンドロゲン / ラット

研究概要

平成7年度の研究計画である免疫組織化学法による生体雄ラビットの球海面体脊髄核(SNB)の運動ニューロンにシナプス結合する軸索終末の化学的同定およびその動態に及ぼすアンドロゲンの効果に関し、次の結果が得られた。
1.神戸大学医学部岡村均教授から提供されたグルタミン酸およびγ-アミノ酪酸(GABA)の抗体を用いて、SNB運動ニューロンにシナプス結合する軸索終末を免疫組織化学的に検索した。
2.興奮性神経伝達物質と考えられているグルタミン酸の抗体を用いた免疫組織化学的検索では良好な結果が得られなかった。しかし、抑制性神経伝達物質と考えられているGABAの抗体を用いて免疫組織化学的に検索した結果、多数のGABA免疫陽性軸索終末がSNB運動ニューロンにシナプス結合していることが判明した。
3.雄ラビットを去勢すると正常雄のそれよりGABA免疫陽性軸索終末の数が減少することから、アンドロゲンはSNB運動ニューロンにおいてGABAを神経伝達物質とするシプナス結合を調節していることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Matsumoto A et al.: "Molecular basis of neuronal plasticity to gonadal steroids." Functional Neurology. 10. 59-76 (1995)
• [文献書誌] Matsumoto A et al.: "Androgen regulates expression of gap junction gene in androgen-sensitive motoneurons" Progress in Cell Research. 4. 257-260 (1995)
• [文献書誌] Matsumoto A et al.: "Comparison of Mauthner cell size in sexually developed and undeveloped male red-bellied newts." J Neurobiology. 28. 126-132 (1995)
• [文献書誌] Matsumoto A et al.: "Immunohistochemical analysis of androgen receptor in the abdominal glands of the cloaca of male red-bellied newts, Cynopus pyrrhogaster." Zoological Science. (in press). (1995)
• [文献書誌] Matsumoto A et al.: "Androgenic regulation of androgen receptor immunoreactivity in motoneurons of the spinal nucleus of the bulbocavernosus." J Neuroendocrinology. (in press). (1995)