研究概要 |
平成6年度はコラゲナーゼ処理で単離した舌咽神経と小さく切り出した舌上皮をそれぞれL15培地で調整した培養液中で育てた。ここでは神経の生育は良いが、味蕾は良くなかった。そこで、今年度はこれを改善し、上皮細胞の3次元的構造を培養系で維持するために、コラーゲン・ゲル中での培養を行った。 1。コラーゲン・ゲル:セルマトリックス(新田ゼラチン社製、Type I-A)をハムF-12培養液と混合したものを培養基質とした。これと舌咽神経または舌上皮と混合した後、室温でゲル化させた。培養器底のゲルを培養液(50%L-15,1%Kanamycin,1%fungizone)で覆い、室温、クリーンベンチ内で飼育した。 2。舌咽神経の培養:舌咽と迷走神経の複合神経節を切り出し、神経を単離しないで神経節全体をゲル中で培養した。3ないし4日後、神経節から出る神経束の断端から神経線維の成長円錐が伸び始めた。約1週間成長を維持できた。 3。舌上皮の培養:舌上皮から味蕾を含む小片を切り出し、上記と同様の条件で培養した。味蕾はそれを構成する細胞の配列、大きさが味蕾を取り囲む上皮細胞と異なるので区別でき、この形態が維持できるかを培養条件の判定基準とした。ゲル中では味蕾の構造は急速に壊れ24時間以上の培養は困難だった。上皮細胞が酵素の供給などの障害になると思われたので、酵素処理によって味蕾を囲む上皮細胞を除去すると6日程度まで培養できた。 今後の課題:酵素の供給を図るため、炭酸ガス・インキュベータを利用する。
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