研究概要 |
1994年(第1年目)7月に西表島で約300のヤエヤマサソリ雌成体および各齢期の若虫を採集した.これらを実験室内で約28℃で個別飼育し,そのうち約40の雌成体が合計約800の若虫を出産した.これらの若虫も同条件で個別飼育され,各齢期ごと,また長い齢期ではその前・中・後期ごとの代表例を固定保存し,櫛状器の歯数などの個体ごとおよび齢期ごとの変異が記録された.この他にもまた途中で死ぬものもあり,1995年3月8日現在,約480 個体を飼育中で,最も早い個体は6齢(成体または亜成体)に達しているが,まだ次の妊娠の徴候の見られるものはない. また出産後の雌や新たに成体になった雌の,次の妊娠直前の卵巣を摘出し,卵母細胞の減数分裂の過程を組織学的に観察し,減数分裂像および第一,第二極体を確認し,卵母細胞では減数第二分裂まで進行することがわかった.また減数分裂期の染色体をエア-ドライ法で観察し,第一分裂中期の二価染色体を観察した.この観察に用いるノ-カバー型対物レンズの購入の直前に,主として使用してきたオリンパスの顕微鏡が故障したため,購入品をオリンパス製からニコン製に変更し,別に現有するニコン製の顕微鏡に装着して使用した. この後は半減した染色体数の回復の過程を明らかにし,表現型の遺伝的変異の起因を解明することが残された課題である.
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