東アジア産タケ類13属14種、熱帯アジア産タケ類8属8種、アフリカ産タケ類1属1種、新世界産木本性タケ類5属5種、南米産草本性タケ類5属5種、タケ亜科に近縁なイネ亜科3属3種、ダンチク亜科1属1種、および外群として使用したフラゲラリア科フラゲラリア・インンディカの合計38種について、全DNAを抽出・精製し、サザン・ハイブリダイゼーション-RFLPs分析法とワグナーの最節約法により系統類縁関係を解析した。イネ葉緑体DNAの6断片(全塩基の46%にあたる)をプローブとし、6塩基認識の14種類の制限酵素を使用した。その結果、全体で219カ所の認識部位の変異点を検出し、そのうち、外群を標準として変異点の有無を対応づけられた107カ所を系統樹を構築するのに有意な形質として採用し、ワグナーの最節約法によって系統樹を構築した。27の樹状図から得られたコンセンサスツリーは世界のタケ類に3つの主な系統群の存在を示した。第1はすべての東アジア産タケ・ササ類を含む系統、第2はアフリカ産のオクシテナンテラ・アビッシニカを含む全ての熱帯アジア産バンブ-類および新世界産木本性タケ類からなる系統でこの2者は姉妹群を形成した。他の1つは、草本性タケ類のうち、ディアンドロリラ、クリプトクロア、オリラ、およびパリアナからなる系統であった。前2者と第3者の間にはイネ亜科とダンチク亜科の4種が個別の系統を形成して配列し、最も基部、したがって祖先型に位置する部分には草本性のストレプトカエタ・スピカタ種と木本性のリピドクラドゥム・アンプリフロルム種からなる系統が位置した。これらの結果は、世界のタケ類は多系統であり、その起原が南米にあることを強く示唆した。また、ササ属は東アジア産タケ類の中では最も進化した位置にあることがわかった。
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