1.北海道厚岸に於いてグレガリナ類のファウナ調査をし、海浜性のハマベエンマムシ、ツヤハマベエンマムシから有頭類グレガリナの末記載種を発見した。多毛類に寄生する無頭グレガリナを調査・採集し、電子顕微鏡用試料を作成した。 2.乾燥殻類の害虫ジンサンシバンムシの消化管中に非常に変わった形態を持つたGregarina属に属する有頭類グレガリナの末記載種を発見し、その生活環を調べた。 3.山口市平川で採集したシマミミズ、フツウミミズの貯精嚢中に寄生する無頭類グレガリナを発見し、その寄生虫の生活サイクルと宿主の生活サイクルの関連、特に季節のサイクルがどの様に組み込まれているかを探った。両種とも晩秋ガメトシストを形成し、オオシストを放出することがわかった。 4.有頭グレガリナの微細構造を研究した。Odonaticola属の核を分離し、走査電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡により調べたところ、その表面は繊維状網状の構造に覆われていた。また核を隔壁に固定する透明な紐状の構造が見つかった。これらの構造は胞子虫類においては初めての発見である。 5.スジホシムシモドキの消化管に寄生するFilipodium属グレガリナの表面に生える毛状構造を透過型及び走査型電子顕微鏡で観察し、その構造が繊毛構造とは全く異なった構造を持っている事を発見した。 6.シマミミズの体腔中に形成された無頭類グレガリナのガメトシスト及びオオシストの微細構造を調べた。有頭類グレガリナとは非常に異なった構造を発見した。 7.チャバネゴキブリ、モリチャバネ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリを用いて、異宿主間でのクロッス感染の実験を行った。その結果チャバネゴキブリとモリチャバネの間においてのみクロッス感染が成立した。
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