研究概要 |
1.西部太平洋に分布するベニカワムキ科魚類の全種類の標本を調査した。 2.その結果、西部太平洋には以下に示す7属11種が生息することが明らかになった。 Atrophacanthus japonicus Bathyphylax bombifrons Halimochirurgus alcocki,Halimochirurgus centriscoides Macrorhamphosodes platycheilus,Macrorhamphosodes uradoi Paratriacanthodes retrospinis Triacanthodes anomalus,Triacanthodes ethiops,Triacanthodes intermedius Tydemania navigatoris 3.ニューカレドニア産の標本をフランスのORSTOMの協力を得て調査し、その結果はフランス国立自然史博物館とORSTOMによって発行されているMUSORSTOMという学術誌へ投稿した。 4.オーストラリア産の種類について、シドニーのオーストラリア博物館の協力を得て、調査することができた。この結果、これまでベニカワムキ科魚類が報告されていなかったオーストラリア東部沿岸にも5属が分布することが明らかになった。 5.これまで本科魚類は南半球からは、わずかに数個体のフエカワムキが知られているだけであった。しかし、ニューカレドニアとオーストラリアのベニカワムキ科魚類の調査によって、本科魚類は南太平洋にも広く分布することが明らかになった。今後、トンガ海嶺などから採集された遠洋水産研究所の標本を精査すれば、本科魚類の南太平洋での分布が東方へ広がることが予想される。 6.従来、10数個体しか知られていなかったBathyphylax属の標本を多数調べることができた。その結果、従来2種とされてきた本属魚類は1種のみで構成されていることが示唆された。平成6年度中には標本の外部形態の精査は完了するので、さらに内部形態を調べて平成7年度なかばまでに本属魚類の分類学的問題を解決する予定である。
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