研究課題/領域番号 |
06640924
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
榎本 知郎 東海大学, 医学部, 助教授 (80056316)
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研究分担者 |
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027497)
長戸 康和 東海大学, 医学部, 専任講師 (30056345)
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キーワード | ニホンザル / 加齢 / 精巣 / 精子形成 / テストステロン / 性行動 |
研究概要 |
精巣の老齢化にともなう形態的・機能的な変化を検討するため、個室ケージで飼育中のニホンザルのうち19歳を越える老齢6個体と、対照として10歳から18歳までの個体6個体を対象に分析を加えた。飼育下でも季節変化が認められることから、交尾季(10月-11月)と、非交尾季(3月)において、(1)精巣組織の組織学的な検討、(2)性行動、(3)性ホルモンについて検討すべく計画した。しかし、時期的な関係で非交尾季のサンプル採取をまだ行っておらず、以下の分析は交尾季のデータに限られている。 (1)精巣の老化を組織学的に検討する手始めとして、ニホンザル精巣の精子形成についての各種のインデックスをとらえた。老齢ザル5個体から2mm立方ほどの組織をバイオプシーし、パラフォルムアルデヒド・グルタールアルデヒド混液で固定、親水性メタクリル樹脂で包埋後、PASへマトキシリンやHEで染色し光学顕微鏡で観察し、また同時に電子顕微鏡で対比観察した。その結果、精祖細胞の形状、変形した精子形成細胞の比率、クローンである精子形成細胞クラスターが小さいこと、基底膜の陥入が認められること、セルトリ細胞の形態にちがいがあることなど、老齢ザルの精巣の形態的な特徴が認められた。 (2)性行動は、オスのメスに対する誘い行動、射精頻度、射精間隔のいずれのインデックスについても、老齢ザルと対照群とのあいだに顕著な差が認められなかった。 (3)性ホルモンについては、血中のテストステロンを測定する予定である。アッセイ系を均一化するため、非交尾季におけるサンプルと同時に測定すべく準備中である。 このように、形態的には老化の傾向が顕著であるにも関わらず、行動の上ではその傾向が認められないようである。今後、この乖離の分析を詳細に行う予定である。
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