本研究は、77K以下の低温域で動作する低温ペルチェを研究したものである。このような低温域においては、性能指数zの良いn型半導体としてBi-Sb系があるが適当なP型半導体材料がない。したがって本研究においては、P型素子の代りに酸化物超伝導体を用いた。この超伝導体は、発電あるいは冷凍には何等の帰与もしないが、熱伝導度が低い、carrierの担体という意味からpassiveな素子として使用したものである。 本研究では、先ず均質な組成を持つBi-Sb系合金単結晶の作製を行った。特に起電力が大きいのは、Bi-Sb系単結晶の3回軸方向であり、この方向に長い単結晶を作製した。また酸化物超伝導体としてはBi-2223系試料をジャパン・エナジ-の中央研究所から提供をうけ、これを用いた。 この両者によって構成されたペルチェ素子を用い、77Kからの冷却実験を行い、約8Kの温度低下、すなはち69に到達することができた。最低到達温度を低下するためには、Bi系超伝導の素子の径を小さくしなければならない。我々の結果を基にした理論計算によると、径を半分にすると15Kの低下が可能なことが予測された。またこれ等素子を5段重ねることにより、10K領域の温度低下が可能であることが明らかになった。
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