GaAs基板上のCuGaSe_2エピタキシャル結晶の格子定数および三つの帯間遷移エネルギーを測定し、立法結晶場における価電子帯のスピン軌道分裂Δsoおよびスピン軌道相互作用がない場合の価電子帯の結晶場分裂Δcfを算出してバルク結晶と比較考察した。 塩化銅(CuCl)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)をそれぞれクヌーセン型セルから蒸発させてGaAs(100)基板上にCuGaSe_2をc軸エピタキシャル成長させた。成長容器内にはバッファガスとして2×10-5TorrのN_2ガスを導入した。 厚みが0.2μm以下のエピタキシャル結晶の格子定数は室温でa_<epi>=5.653Å、c_<epi>=10.948Åであった。a_<epi>はGaAsの格子定数と等しく、コヒーレント成長が確認された。バルク結晶の格子定数a_<bulk>=5.61Åとc_<bulk>=11.03Åを用いて弾性定数比c_<13>/c_<33>=0.48が得られた。コヒーレント成長結晶の正方晶歪(2-c/a)は0.063となり、バルク結晶の0.034に比べて約2倍の大きさになることがわかった。 Δsoは温度に依存せず14〜200Kで229meVとなり、バルクCuGaSe_2の0.23eVと等しい。一方、Δcfには温度依存性が認められ、-Δcfは14Kにおける152meVから200Kの142meVまで変化する。この温度依存性は正方晶歪の温度変化によるものである。
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