ACプラズマアシストCVD法によるSi基板上への単結晶3C-SiC薄膜成長の低温化と大面積化を目標に、実験と検討を行ってきた結果を要約する。 ・プラズマの有効面積の拡大を図るには複数組の電極の並列接続が有効である。しかし、エネルギーバランスからプラズマギャップが偶数になるように電極を設計する必要がある。よってDouble電極をDoubleとSingleの折衷のような電極に改良し、3C-SiC薄膜成長の大面積化を図った。 ・SiH_4ガス流量を多くすると、膜の分布は60×40mmのSi基板全体に広がる傾向にあり、大面積化としては望ましいことであるが、供給SiH_4ガスの基板での反射による逆流によって、SiH_4ガスがプラズマ中に侵入し、分解・再結合してSiC微粒子を生成する。この微粒子はSi基板上に降り、分布する。しかしこのSiC微粒子の存在しない部分は単結晶3C-SiCを示す。SiH_4ガス流量を少なくすると結晶性は良いが、分布が広がらず、大面積化としては問題がある。そこで、SiH_4ガス流量を少ない状態で、水素ガスをキャリアガスとして流した結果、膜厚分布は改善されたが、全流量が増加したことにより供給ガスのSi基板での反射が起こり、SiC微粒子の発生をみた。そこで、プラズマ電極、ガスノズル、サセプタ間の位置関係を大きくした結果、膜厚分布も良くかつSiC微粒子の存在も認めらなっかた。しかし、この膜は多結晶SiCであった。この多結晶化の原因は、やはりSi源の供給とエッチングとのバランスに帰着することができる。 以上のことから、プラズマ電極、ガスノズル、サセプタ間の位置関係をさらに最適にすることにより、ACプラズマCVD法により単結晶3C-SiC薄膜成長の低温化と大面積化の可能性は濃厚であると考える。
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