研究概要 |
本研究では、SOI(Silicon on Insulator)構造におけるシリコン結晶薄膜の電気的評価技術を確立し,その結晶膜中の欠陥と界面準位の物性を解明することを目的としている。本年度の研究実績の概要な以下の通りである。 1.SOSウエハに電流DLTS法を適用して、ブロードな信号が観測された。これらの信号は、容量DLTSでは観測できないことより、SOI構造における欠陥評価に、電流DLTS法が非常に有効であることを示した。ブロードな信号中に見いだせる2つのピークに対して、放出率の温度依存性が求められた。その傾きより、2つのピークに対応する準位は、伝導帯下0.12eVおよび0.33eVと求められた。 2.SIMOX(Separation by implanted Oxygen)ウエハについても、電流DLTSを適用した。測定に用いた試料は、酸素イオンをエネルギー180KeV、注入量1.7×10^<18>cm^<-3>で注入したp型ウエハである。薄膜Siの膜厚は128nm、埋め込みSiO_2膜厚は,429nmである。120K付近に、1つのピークが観測された。その準位深さは、価電子帯上、0.15eVに位置する欠陥と同定された。 以上のSOIウエハに対する電流DLTSの結果は、SOIウエハの評価技術として有効と考えられる。
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