研究課題/領域番号 |
06650025
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
松下 照男 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90038084)
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研究分担者 |
小田部 荘司 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (30231236)
古川 昌司 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (30199426)
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キーワード | 超伝導 / 縦磁界 / 量子化磁束の運動 / 電界構造 / Josephsonの式 |
研究概要 |
平板状Pb-In超伝導試料に平行に直流磁界を加えて電流を流したとき、長さ方向にほぼ1mmの間隔で配置した電圧端子によって試料表面での電界構造を調べた。このとき、十分大きな直流磁界の下では、ある部位において加えた電流の方向とは逆の方向に電界が生じ、あるパターンが観測された。昨年度の測定により試料の長さの制限のため、電界構造の長さ方向の周期性の確認が容易ではないことが明らかになったので、本年は平板試料の横方向の電界を合わせて測定した。これによると、電圧状態では試料の横方向にも電界が生じており、また縦方向の電界と関連して正負の値を取ることが明らかになった。こうした事実および、これらの電界が臨界値を超えた電流に対してのみ観測されることから、この横方向の電界がホール効果によるものではなく、円柱状超伝導試料の場合と同様に磁束線の運動によるものと結論される。結果的に電界についてのJosephsonの関係式が成立せず、電界はE=B×υ-gradφ(ただしBは磁束密度、υは磁束線の速度)の形で与えられることが理論的に示される。ここで、φは単純な静電ポテンシャルではなく、磁束線が運動することによって生じる電界、すなわち誘導電界を与えるスカラーポテンシャルである。そして負の電界を与えるのがB×υである一方で、エネルギー損失に関与するのは-gradφの項である。なお、電圧状態における全体的な微分抵抗率は大まかには磁界の増加とともに増大し、定性的にはBardeen-Stephenモデルに合う傾向にあるが、横磁界の場合よりも変化が急である。これは真にBardeen-Stephenモデルに対応するのは-gradφの項であるのに対して、観測された電界の中でこの項のみを分離できていないためであると考えられる。 また、本研究の目的の一つとして、こうした測定を熔融法による酸化物のY-Ba-Cu-O試料で行おうとしたが、縦磁界下では臨界電流が大き過ぎて電圧状態に至らなかった。
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