本研究では、金属-GaAs界面近傍の欠陥を感度良く測定するために、先ず直径0.3μmのショットキ・ダイオードの製作プロセスの改善を行い、次に、深い準位をもつ金を不純物としてGaAs表面に拡散させたダイオードの雑音の測定を試みた。 1 従来用いていた電子ビームレジストは、耐ドライエッチ性が十分でないだけでなく、材料にフッ素を含んでいるため、試料表面にポリマーが堆積しやすく、ドライエッチング後のプロセスの不安定性の原因となっていた。このポリマーは、ドライエッチング、表面クリーニング、エピ層陽極酸化-エッチング、ショットキ電極メッキ等の工程で影響を与え、均一性の良いダイオード製作の妨げになっていた。そのため、ダイオードの雑音特性を測定する際、データーの再現性を得ることが困難であった。 2 今回新たにノボラック系の電子ビームレジストの供給(試作品)を受け、耐ドライエッチ性が飛躍的に向上していること、ポリマーの堆積も少なくポリマーが酸素プラズマやオゾン等を使用せずともほぼ除去できること、が明らかになり、均一性の良いダイオードを製作できるようになった。 3 雑音と金属-GaAs界面近傍の欠陥との関係を定量的に明らかにするため、不純物として金をGaAs表面に拡散させたダイオードを製作した。先ず、温度500度C、1時間の条件で拡散させた場合についてダイオードの雑音特性を測定したが、現在のところ、拡散した金による明らかな雑音特性の変化は観測されていない。今後、拡散の条件を変えたり、不純物としてインジュームを用いた場合について、雑音特性の変化を求め、雑音と欠陥の関係を定量的に明らかにする予定である。
|