研究概要 |
2年間にわたる本研究の主要な成果を以下に述べる. 1.バイナリー光学素子の高性能・高機能化について検討を行い実現をはかった. 回折光学素子の高効率化のためバイナリー化し,各レベルの位相変調振幅の最適化とマルチレベルによる特性評価をキルヒホッフの回折理論を用いた波動的取扱いによるシミュレーションで行った.さらに高精細リソグラフィ法による試作実験で,65%の効率を持つ8レベルのバイナリーゾーンプレートアレイを作製し,さらにステップ幅の微細化に伴う作製誤差をさけた異種レベルゾーンの組み合わせにより、85%の高効率化を実現した。また、本手法を用い波面制御用の3レベルアレイイルミネータを試作し、実時間液晶ビーム偏向器と組み合わせ機能性のある光デバイスの開発を行った。 2.高精細液晶(ピクセルサイズ30μm×45μmのツイストネマティック液晶)の光情報処理デバイスとしての特性評価を実験とシミュレーションにより行い,光演算システムへ適用するための最適実験を検討した. 3.実時間光並列演算システムの構築と有効性の確認実験を行った. 試作したバイナリー光学素子をフーリエ変換素子として用い、電気および光アドレス型の2台の液晶空間光変調器と組み合わせ、大規模データベースを対象としたハイブリッドな実時間JTC認識システムを構築した.またこの認識システムにより,文字や顔画像の光演算を行い,デジタル処理に比べ高速化の可能性を得た.特にデジタル的な前処理を行った正面顔画像の認識実験では100人の入力に対し、誤認識率ゼロの優れた結果を得た.また80%試作を越す高効率なJTC用の光並列演算用ゾーンプレートアレイを設計・試作し,これにより顔画像の光並列演算の十分な可能性を得た. 以上本研究では光デバイスとして回折光学素子と液晶をとりあげ,シュミレーションによる設計・試作・評価さらにシステムの構築と一貫した検討により,有効性を確認した.
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