研究概要 |
本研究は、焼結強誘電体チタン酸バリウムセラミックシートを基板兼絶縁槽とし、その上に青色発光を可能とする酸化物系螢光体薄膜発光槽をスパッタ法及びCVD法を駆使することによって形成した薄膜EL素子において、低電圧駆動高輝度青色発光EL素子の実現を目指している。本研究の特徴は、青色のみならず他の発光色を実現する際にも発光母体材料を換えることなく発光中心のみを入れ替えるだけで所望の発光色を実現することも目的の1つである。従って、まず各色で効率よく発光する発光母体材料の作製技術の確立に努めた。即ち、Zn_2SiO_4,ZGa_2O_4,Y_2SiO_5等の発光母体材料を中心に各種発光中心を導入し、EL特性による評価結果から母体の検討をおこなった。当年度の成果は次の通りである。 1)上記3つの材料とも発光母体材料として有望であることがわかった。特に、前二者はその点で優れている。特にZGa_2O_4は作製の容易さ、安定性の点で他に比べ優れていた。 2)Zn_2SiO_4は、既に報告しているようにスパッタ法での作製が容易であるが、結晶性に優れた薄膜材料が得られにくくポストアニールを不可欠とした。CVD法での作製にはZnOとSiO2を2:1のモル分率で合成されるように成長条件を設定するが、殆どの場合アモルファス状薄膜となり、作製にはブレークスルーの突破が必要であることがわかった。しかし、例えばMn発光中心を導入した結果ではas-dep.の状態でも輝度は低いが緑色発光が得られたのでスパッタ法とは異なる発光に有利な条件が実現したものと考えられる。
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